武士が腰に帯びていた大・小の刀のうち小さい方を脇差し(小太刀)と呼び、その脇差し(小太刀)の用法が現在の短剣道に通ずるものである。
短剣道は小太刀の心技に由来し、特に第1次大戦の結果に鑑み、旧戸山学校において、短剣の使用法について研究がなされ、大正10年に集大成されて誕生したものである。
小太刀の起源は日本剣道の三大流祖のひとつとも言われる中条流の小太刀にその源を発し、特にその流れを汲む富田流小太刀が著名であったようであります。現代武道で小太刀として残されているのは、大正元年に制定された「日本剣道形」に小太刀3本の用法が残されています。
全日本銃剣道連盟では昭和53年に短剣道を導入して普及を始め、段位制定を行いました。称号の制定は昭和57年より行っています。
短剣道の修行は、たゆまない努力によって 心身を鍛練陶冶し、規律を守り、礼節を尊び、 信義を重んずる等、社会人として必要な道徳 性を高め、もって
正しく、 明るく、
強く、 逞しい、
人間形成を目指して精進するものである。
公益社団法人 全日本銃剣道連盟
第1 短剣道は、わが国の伝統的な武術である剣術の「片手によ る小太刀の技」を基調として、明治中期に創成され発展した 武道である。
第2 短剣道は、武士道の美風である、「誠実」「礼節」「勇気」 「質実剛健」及び「克己心」等を徳目として錬磨し、社会に 有為な人間の育成を目的とするものである。
第3 短剣道は、「突く」「抜く」「打つ」「払う」「かわす」 「足さばき」及び「制体動作」等の身体活動を通して、健康 で豊かな社会生活を営むための、国民の健康・体力づくりに 寄与するものである。
第4 短剣道は、短竹刀を片手で操作し、「突き技」「打ち技」「入 り身制体技」により、比較的近い間合いで競い合う競技であ り、怯まず攻勢的なところに特色がある。また、「短よく長 を制する」ところに特徴があり、異種の武道種目との試合に も適応できる。
第5 短剣道は、稽古と試合を通じて、「知」「情」「意」のバ ランスのとれた心身の発達を図り、社会への適応力を育成 し、心肺機能・巧緻性・敏捷性・制体能力及び持久力を高め ることができる。
公益社団法人 全日本銃剣道連盟
服装は銃剣道衣に、剣道の防具のような銃剣道用具を着けて竹刀やなぎなたと同じように小太刀というものを持って行います。
短剣道の服装は、銃剣道衣と同じです。
剣道と同じように面・小手に対する「打ち技」と喉・胴に対する「突き技」があり、相手と接近した瞬間に相手の腕をつかんで相手の動きを止めて突く「制体による突き技」で構成されています。
剣道の竹刀を短くしたもので長さが53cmで重さが成人用が250グラム、女子・18歳未満は200グラムで剣道と違って片手で持ちます。
銃剣道の防具と同じ、『面』・『小手(右手のみ)』・『胴』・『垂』といったものに胸を保護するために胴の下に着ける『胸当て』という用具をプラスしたものです。